子どもの頃は嫌いだったバーレッスン、なぜバーレッスンが必要なのかなんて、教えてもらえませんでした。義務的にこなしていただけで、早く踊りたい私にはつまらないお稽古。今思うと本当にもったいないことです。だからこそ、子ども達にはバーレッスンが必要だと思ってもらえるように、体の構造や動きの仕組みを合わせて伝え、どう動かせば良いのかを考えてやってみる、を指導しています。

そして最近、バーレッスンの凄さを、私自身が改めて感じています。それは年齢による、いわゆる老化によって体の機能が衰えていくのを、身をもって感じているからです。「募集」のブースで、30歳ごろから毎年1%ずつ体力が落ちていく、と書きましたが、それは私のことでもあります。一般の方よりずっと身体を使っていますから、それなりに保つことは出来ています。ですが足が上がらなくなり、腰が固くなり、ルルベ(踵を上げて立つ)が辛くなってくるなど、確実に退化しています。10年前とは明らかに違う身体。でも悲観しているわけではありません、逆に新鮮なのです。無意識の中に埋もれてしまっていた感覚を、思い出したり再発見したり出来ること。この年齢になって、バーレッスンの凄さを学び直していることが。

赤ちゃんだった私が、立ち上がって歩くことを必死に身に付けている頃の記憶なんて、有るわけありません。でも退化(老化)していくと言うことは、その頃の自分に戻るのかもしれません。無意識に出来ていた歩くという動作も、本当は忘れてしまっているのかもしれません。だからバーレッスンを通して、立つためにどの部位を使うのか、さまざまな動作はどうやって行うのか、子どもの達に伝えていることを、自分自身に語りながらお稽古をするのです、辛いけど。

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