「立つ」って難しい、「ただそこに存在するだけの存在で佇む」、それは本当に難しい。現役で踊っていた頃は、テクニックを身につけ磨き、踊れるダンサーになりたいと必死でした。でも年齢のせいでもあると思いますが、踊るってそうじゃないんだなあ、としみじみ感じています。

昔芝居を勉強していた頃、下手な役者には小道具を持たせると聞いたことがあります。鞄を持つ、タバコを咥える、ポケットに手を突っ込む。そうすることで動きが生まれて格好が決まるから。そして間がもつから。何も持たず体側に両手を下ろしたまま人前で立つのは、想像以上に怖いです。その姿で立てる心理状態でないと、数秒しかもちません。そして自分がどんな姿で立っているかを客観視して、ただ立つ自分を演出する。

若い頃はもがいて出来ない自分にイライラして、でもそれはすごく大事で、無理を押し通すパワーは若いときにしか持っていない。今は間「空間、時間、人間」、素のままで立ち続ける躍りがしたい。

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