怪我と向き合うその先に
2025/04/23 (水)

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体を使う仕事だから身体のことを少しは理解できていると思っています。独学ではあるけれど、解剖学や生理学の範囲もゆるゆると勉強しています。そして自分の身体を実験台にして、体験してみて検証しています。そして今更ながら思うのはバレエはすごいということです。バレエはスポーツではなく芸術ですが、アスリートレベルで身体を使います、しかも満遍なく。全身の筋肉を均等にそして連鎖して使い、柔軟、跳躍、静止、回転その他、身体表現の可能性に挑戦しながら感情表現も求められる。もう大変なんだけど常に心は冷静に。そうでないと怪我をする、振りを間違える忘れる、ということになるのです。怪我をすると感覚が狂ってしまいます。今はバレエ経験者の整体師やトレーナの方々も増えて、また怪我予防やリハビリにピラティスを取り入れるようになってきているので、体を保つ環境は良くなっているように思います。
で私はどうかというと、怪我の多い人生です。話すことでもないと思っているので、怪我歴を語ることはほとんどありません。後遺症も多々ありますが黙っています、仕方がないと思っていたので。なぜ過去形かというと、治せば治ることを知ったからです。歳を重ねると今までなんとかなっていたことがならなくなる、色々書いているけれど、全部自分に起きていることです。他者より身体を気遣っていても老化します。あーそうなっていくのねと、受け入れる変化もありますが、怪我による歪みと後遺症は老化ではなにのに、それが足かせとなり老化に繋がっていく。それが嫌でたまりませんでした。ですから基礎から柔軟から全部見直すようにしました。レッスンで行うストレッチは私も行っていて、50分位の内容ですが毎回3時間くらいかけて、身体の中に散らばっている動きを妨げる障害を探し、どうしたら正常な位置や働きに戻せるのかをずっと観察していました。そして無感覚だったり全く動く気配のない状態が、ほんの少し動き出したのを感じると、ひたすらその感覚を逃すまいと痛くても痺れてもずっと我慢して、次に現れる感覚を待っていました。ほぼ毎日です。辛いです。でも諦めずに続けると確実に答えが見えてきました。まだ途中ですが、それは怪我をしたことで変化した身体をもとに戻す作業です。患部をかばって作業してきたための歪みや、途切れた感覚を探してつなぎ直し、筋肉バランスを整えて骨の位置を正常に戻し、正しい位置で運動し身体の記憶を書き直す作業です。ある箇所の不具合を治していくと、それは別の箇所の不具合と繋がっていて、その箇所を見ていくとクリアしたと思っていた箇所が変化して、もう一度見直しすることになり、まさに一進一退です。
歳を重ねて取り戻すことが難しいのは跳躍です。体重の何倍もの負荷が足にかかります。でもそれ以外の動きは少し時間を巻き戻せています。後遺症も減っています。どこまで戻せるのかは未知ですが、どう使えば怪我をしないのか、この動きはどうやって身体を使えばいいのかが、頭と体で理解できるようになってきたのは嬉しい成果です。そしてバレエの動きは全身の感覚を研ぎ澄まして、繋がりにより生み出されるものだということを、改めて感じています。全身運動なのに一つの筋肉に掛かる負荷は小さいうえ、衰えやすい筋肉を使わなければ動作が成り立たないので、ずいぶん意識するようになりました。まだ変れるかもしれない自分の可能性を信じて、これからも修業です。
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