建設業界に入って30年以上経ちます。

最初は『できることを1つずつ覚えて早く一人前の仕事が出来るようになりたい』そんな思いで仕事をしてきました。仕事をしていくうちに、大工という職業の奥深さと技術を身に付ける為の場と発揮する場がない事が見えてきました。どんなに向上心を持っていたとしても、求められる事は『仕事の早さ』が大半でした。

会社の仕事をしているときにはそれでも良かったのですが、個人のお仕事をいただいたときには速さだけではお客さんの思いを形にできないことも知り、出来る限りお客さんの1つ1つの要望に応えるにはどうしたらよいかと考えるようになりましたが、お客さんの中にはインターネットの普及によりネットで調べた価格よりも高いんじゃないのなどと言う方もいらっしゃいました。実際自分がお付き合いしている問屋さんに「うちで仕入れるよりもネットの価格の方が安いんですよ」と言われました。現在は、安さやお得感を売りにしているところが多く、そのような価格では地域に根付いた問屋さんや職人さんでは太刀打ちできないのが現状です。それでも地域や職人さんを応援してくれるお客様に出会えたことで、安さではなく『少しでも安心して長く暮らせるストレスのない家づくり』をコンセプトにやってこられました。また、「忙しいので待ってください」と言えば待ってくれる、思いも評価をしてくれる、そのようなお客様に支えられるなかで、よく言われた事は「今時そんな職人さんはいない」というお言葉でした。

私自身は、自分よりももっと技術も優れていてお客さんのことを思って仕事をしている人がたくさんいる、ただ出会えないだけ、そのように思い、一人でも多くの職人さんとお客さんが出会える場ができたらいいなと思い、現場の職人を辞めて『未来に安心して暮らせる仕組み作り』をする事にしました。ただ、今でもお待ち頂いているお客様はいます。

職人という業界が好きでも辞めなくてはならない、そんな思いを次世代に残さないと決め、お客さんと職人さんが安心して繋がれる環境づくりをコンセプトに歩んできましたが、現実は、今の生活に問題がなければあえて余分なことはしたくない、という周りからの反応でした。時々、職人の仕事をしている方が楽しいし楽だなぁと感じることがあります。私のような思いをする人がいない未来をこれからの子ども達に繋いで行きたいです。

道三

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