20才前後の時ですから、ずいぶん前のことになります。その頃バレエ以外に演劇を勉強していたのですが、演出家である先生がよく言っていました、「感動しなさい」って。感動とは感(感情)が動(どう)ずることだと。

これは特別な空間ですね

特別な空間や時間によって生み出される感動ではなくて、日常のなかにある感動です。私自身歳を重ねて、やっと感動という感覚がわかってきたように感じます。「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」、自分と外の世界を繋ぐ五感を研ぎ澄まして、感じたことを意識してみる。今感じている感覚は「いつも通り」なのではなく、今初めて出会う感覚なのだと意識してみる。昨日と同じ場所に咲く、同じ花だったとしても、それは昨日の花とは違う今日の花なのだと。そう感じることで、無関心に通りすぎてしまっていた人、物、事に、気が付くようになるのです。

そして気が付いたその感覚は、自分の感情をどう揺り動かすのか、「喜」「怒」「哀」「楽」です。自分が何に喜び怒るのか、どんな事に哀しんで楽しいと感じるのか。受信した感覚が自分を通り、感情となって現れる、そこから言葉が生まれ、動きが生まれるのだと。感動って誰のなかにもあって、たとえ動きが小さかったとしても、感動しているはずなんです。

心も身体も使わないと動きが鈍くなってしまいます。制約の続く生活でも、心は制約したくない。私は喜怒哀楽だけでなく、さまざまな感情の中を、自由に揺らいでいたいと思っています。

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